職人の手によって一つ一つ削り出されたフレームは、まるで川を長い間流れて角が取れた小石のように、スベスベとした触り心地です。肘掛の長さや、手を掛ける先端の丸みのある加工など、細かな造形がデザイナーである佐戸川氏のこだわりが現れています。

クッション性に優れた座面は、座った瞬間にこの椅子は良いものだと我々に知らせてくれます。正面から見てわかるように、ただカーブを描いているのではなく、お尻の形にフィットするように座面に加工がされています。よりフィットするため座り心地が良いと感じさせてくれます。

座面が広く、肘置きも少ししか出ていないため、自由な姿勢でお座りいただけます。横向きに座って隣の人と談笑したり、テーブルに向かってだけでなく、幅広い使い方ができます。

幅・奥行きともに、一般的なダイニングチェアよりも少し広めに設計されています。少しのゆとりが、ダイニングでの時間をよりゆるやかに寛ぐ空間へと変えてくれます。

ダイニングチェアは立ったり座ったりと1日の中でも姿勢を変えることの多い家具です。セミアームであれば、立ち座りの邪魔になりづらく、また、肘をかけてゆったり寛ぐこともできます。

背もたれからハーフアームまでのカーブは削り出しではなく、木を曲げて作られています。削るよりも強度が増し、木目も鮮やかに映る飛騨高山の技術が詰まっています。

お尻の形にフィットするように座板とクッションには「座繰り」と呼ばれる加工がなされています。元々は板座の椅子に長く座れるように工夫された技術だったのですが、クッションがついてもその技術は活かされています。

フレームよりも座面が前に出ています。これにより、太もも裏や膝への当たりが柔らかくなり、長時間座っても心地よい座り心地を実現させています。

一見、何ともない形のように見えますが、家具で楕円の脚を作ることは非常に難しい技術とされています。角脚でも丸脚でもない、独特の楕円形が生み出す柔らかさは飛騨の高い技術あってこそ生み出されます。